昨日の夜、私は南東の方向にある火星を見ていました。火星が地球に近づいて約7700万㌔離れているとのことですが、ひときわ輝いていました。
今は昔、人は屋根の上でギターを弾いて歌を歌っていました。今はこのような風景をテレビで観ることはなくなりましたが、日本空飛ぶ円盤研究会にも空飛ぶ円盤観測会なるものがあって、大の大人が双眼鏡を片手に空を眺めていたことを考えると、昔はもっと宇宙に思いを馳せていたのかもしれません。
三島由紀夫さんも、夏になると、空飛ぶ円盤を探して自宅の屋上で双眼鏡を片手に空を眺めていたのです。三島由紀夫さんが婦人倶楽部に連載した社会料理三島亭にこんなことを書いています。
私も一度どうしても大型のかがやかしい円盤が、夏の藍いろの星空の只中から、突然姿を現してくれるのを期待して、夏になると、双眼鏡を片手に、自分の家の屋上に昇らずにはいられない。これをわが家では「屋上の狂人」と呼んでいる。(中略)
それでは三島由紀夫さんは空飛ぶ円盤を目撃したのでしょうか。奥様と一緒に自宅の屋上でまた空飛ぶ円盤を探していたときです。
西北方の一点を指さして、妻が「アラ、変なものが」と言った。見ると、西北の黒雲の帯の上に、一点の白いものが現れていた。それは薬のカプセルによく似た形で、左方が少し持ち上がっていた。そして現れるが早いか、同じ姿勢のまま西へ向かって動き出した。黒雲の背景の上だからよく見える。私は円盤にも葉巻型というのがあるのを知っていたから、それだな、と思った。(中略)
その後、三島さんは、自分で見たものが信じられなくなるものの、人からそれは錯覚だろうと言われると腹が立つとこれが空飛ぶ円盤だったのかはっきりしないのですが、さすが小説家だと思うのは、あれが本当の空飛ぶ円盤ならそれを操縦している宇宙人は、そんなやりとりを嘲り笑っていると綴っています。
もし本当に地球より進化した宇宙人がいるとしたら、その宇宙人は、現在の地球を第三者の目で見て笑っているのかもしれません。