南山 スペクトル写真をとれば流星か飛行機かすべてはっきりわかるわけですね。
並木 ええ、別に星や飛行機のデータをとっておいて比較すれば明らかになりますね。やはり、まどろっこしくて時間がかかるけれど、こういう方法でハードなデータを積み重ねていく以外ないんじゃないかと思うようになってきたんです。
荒井 それはとても大事なことだと思うんですが、ボクが一言いっておきたいのは、ことUFOに関する限りは、やはり今の科学のテリトリーの中では解決できない部分があると思う。だから、今の科学だけに執着して、現在の科学ですべてを解決しようという考えでは、UFOの実体はなかなか究明できない。ある程度は飛躍して、まあ科学者はなかなか飛躍できないんで、ボクらがいろんなデータを集めて、こういう実例があるじゃないか、ああいう実例があるじゃないか、ということを示して、壁を越える試みをしなければならない。やはり科学というもの自体、壁を越えなければ進歩はない。今までの科学の限界の中でやってるんじゃこれは限度があるわけですよ。
南山 だから、科学者でも扱いうる素材となるようなしっかりしたデータがうんと増えたら今、荒井さんのおっしゃったような仮説をたてて、それにデータが適合するかどうか検討してゆく作業をやればいいわけですよ。
並木 ただ、今の段階では、UFO30年なんていっても、手ごたえのあるハード・データがあまりにも少ないわけなんですよ。やはり理想をいうなら、管制センターをあちらこちらに作って、誰が見ても聞いても納得のゆくデータが必要になってくると思うわけです。
南山 ただ、荒井先生のおっしゃるように、現代科学がどこまでUFO現象に通用するかということに関して、ひとつだけ疑問があるのは、相手が自然現象ならいいんです。今までの自然科学の方法で追求していいってもね。ところが相手が人為現象だったら、それを我々の自然科学の手段ではっきりとらえられるということですね。たとえばレーダーひとつをとっても、相手の科学力が非常にすぐれていれば、レーダーから逃げられることができるじゃないか、そういう指摘はできますからね。
韮澤 レーダーというと、8月に北海道で根室基地のレーダーがゴーストをキャッチするという事件がありましたが、ああいうことはオープンにされないだけで、しょっちゅうあるそうですよ。網走のレーダーサイトの隊員でラジオ研究所長の内田秀男さんのところへ直接手紙を出して会いに来た人がいるんですよ。彼はシベリアの方からでっかいやつが来たというんですよ。もっとも本人はソ連の秘密兵器だと思ってるらしいですがね。
南山 それは本当だとすると凄いですね。そういうのが、はっきり当人の証言を得られたり、レーダーに映ってるところの写真を指摘できたりするといいですが…。
韮澤 まあ、できればね。(つづく)
参考文献 UFOと宇宙 ユニバース出版社 昭和54年1月1日発行通巻第42号