荒井 国連もそうですが、公的なレベルでのUFO研究の動向というと、9月頃、ボクのところにソ連大使館の人が訪ねてきて、最近、モスクワの北200キロ付近でUFO事件が相次いでるというんです。UFOが低空飛行して来てね、光がシャワーのようにふり注いで、窓ガラスが割れたり、舗装の石がはがれたりというスゴイ事件らしいんだ。
南山 へえー。実はね。4月頃の「ナショナル・エンクワイアラー」の記事によると、去年の9月と11月に、荒井さんのおっしゃるのと同じ場所もだいたい同じあたりで、同じような事件が起こっているというんですよ。
荒井 ボクの聞いた話では、今年の春から夏にかけてということだから、去年から何度も続いているのかも知れませんね。近々、ソ連の技術者向けの新聞に載った、この事件の記事をもらうことになっているから、そうするともっと詳しいことがわかるでしょう。ともかく、この事件がキッカケで、モスクワの科学アカデミーから各国の大使館に、その国で発表されているUFO関係の資料を集めよという命令が出てるというんですよ。それで、たまたま東京堂においてあった私の「UFO年鑑」を見て訪ねてきたんです。それで、この間、ニューヨークの冨川さんとも電話で話したんだけど、ニューヨークでもソ連大使館がいろんな研究家に接触を求めて来ているらしい。だから、科学アカデミーが本腰を入れだしていることはほぼまちがいないですね。なんでも、全世界のUFOの資料を集めた一室を設けるということですから。
南山 ボクがソ連に関して知っているのは、シクロフスキーという天文学者が一生懸命UFOについて調べてるんだけど冷飯くってましてね。公式には出版できなくて、自分でタイプした原稿を西側に持ち出して、ようやく日の目をみたということですが、これをキッカケに、そういう状態が少しでも改善され、しかも国家的統制の下での研究じゃなしに、自由に世界中の研究家とオープンに情報交換できるようになればと思いますね。(つづく)
参考文献 UFOと宇宙 ユニバース出版社 昭和54年1月1日発行通巻第42号