UFO論争(円盤研究の草分けVS惑星物理の名大教授)

010301nori020-trans昭和62年6月23日付け朝日新聞の記事です。

「UFOなんて実在しない」とする水谷仁・名古屋大理学部教授の著書「宇宙人はいるだろうか」(岩波ジュニア新書)をめぐって、UFO研究家が「学者の思い上がりも甚だしい」と質問状を送りつけるなど、思わぬ「UFO論争」になっている。

~水谷仁著「宇宙人はいるのだろうか」の「まえがき」から~

そもそも地球外から知能のある生物がやってくるこというようなことは、科学的に考えれば不可能に近いといってよいほどのことです。毎日望遠鏡で夜空を見ている天文学者やコメットシーカーのだれ一人としてUFOを見たことがないというのも、UFOが実在するものではないことを示していると思います。そこで、この本では宇宙人がUFOに乗ってきているとは考えません。

荒井欣一さんが、昨年秋、ライブラリー参考文献に「宇宙人はいるのだろうか」を購入。ところが、荒井さんは「まえがき(上記)」を読んだだけで、これはひどいと思わざるを得なかった」「こんなにはっきりUFOを否定されたのは、私の知る限り日本の学者で初めて」と、UFO否定論に憤まんやる方ない。

水谷教授は、宇宙人がいるとは十分考えられるものの、何万光年という隔たりがある以上、「宇宙人がロケットに乗ったり、宇宙探査船に乗ってわれわれの周りにやってくるというようなことは非常に考えにくい」と書く。

荒井さんは「天文学者のだれ一人見ていないというが、多数目撃している」という。あわせて本の中で、冥王星の発見者クライド・トンボー教授をローウェルと間違えるなど岩波らしくない点も指摘。

一方、水谷教授。「UFOにロマンを求めるというが、本当のロマンは宇宙の姿の中にある。UFOは信じる人には見えるのかもしれないが、私は子供たちにあまり信じてほしくないと思い、ああいう断定的な表現になった」という。冥王星の指摘は荒井さんが正しく、岩波書店も「次の版から直す」としている。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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