昭和33年3月11日付け「毎日新聞」(夕刊)に、石原慎太郎さんが空飛ぶ円盤について書いている記事がありますので、紹介します。
「空飛ぶ円盤」
先日ゴルフ場で一緒になった紳士がコースを回りながら話のはずみで僕に「あなたは空飛ぶ円盤のようなものを見たことがあるか」という。
円盤かどうかは知らないが、僕もことしの正月の夜、怪しい飛行物体を確かに見た。僕一人でなく連れの四人も目撃している。世間でいう円盤とは大きさも形も違って、黄色に光り輝いたかなり大きな球体が明るく尾を引いて夜空をよぎっていった。見た感じからいっても人魂やエイ光弾ではないことは確かである。
そう答えるとくだんの紳士が顔色を変え「私が川崎で見たのもそれと全く同じで、しかも忘れもせぬ正月二日の夜だった」という。正直いって二人とも、思い出し改めて薄気味悪くなり顔を見合わせた。
「どうも大変な世の中になってきましたな。もっともあなたなどお若い方がたはそうも感じられないかもしれませんが」と紳士はいう。
しかしこうした事柄になってくる年代の新旧にかかわりなく、やはりなにか大変なことが起こりそうな気がしないでもない。既成の事実が日ごろ信用している科学で皆目説明がつかないということほど不気味なものはない。僕は時折ふと予感のようなものを感じることがある。「案外、おれは人類の終えんに立ち会える。ある意味で幸運な世代に生まれてきたのではないだろうか」と。
参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史