日本空飛ぶ円盤研究会の会員だった柴野拓美氏が研究会との関わり合いや思い出を語っています。
「SF作家 柴野拓美氏の場合」
今から振り返ってみると、そのころUFOの研究に集まっていた人間模様の多彩さは驚くばかりで、あるいはUFOそのものよりもこっちのほうが興味津々かもしれない。当時の厳しい世情のなかで、未知の宇宙や超科学の世界に思いを馳せた人々、というのがまあ包括的な捉え方だろうか。とくに荒井さんのようにUFOそのものに追求の対象を絞っているのが、いわば正統派の研究会ということになるが、そのなかでは、彼のように正統不偏の立場をつらぬいている人物は、むしろ、希少価値だったような気がする。
一方にはひたすら「科学性」を標榜して証拠集めとその独自の分析に執念を燃やす人々がいるかと思うと、他方には新興宗教そこのけ円盤信仰をふりかざす一派があり、それぞれに融合集散していた。
全般的にみると、時の推移とともに科学派は衰退し、信仰派の人々が勢いを増してきたようだが、これはむしろ当然の帰趨というべきだろう。宗教組織は「法難」によって強化されていくからである。こうした両翼のあいだを埋めていたのが、量的にはむしろ多数派の、関心をUFOに絞らない、「好事家」という人々だった。(続く)
参考文献 日本空飛ぶ円盤研究会発足秘話 知られざるニッポンUFO探求史(画像の内容と異なります。)