「ん~、でも僕らはね、UFOは確実に存在する、それをみんなにわかってもらいたい。
この信念だけで情報集めてたからね…。
根本哲学といってもいい。それと、宇宙平和だね。僕らは当時、ソ連の首相だったフルシチョフに親書を送ったことがあるんだよね。
それはどういうことかというと、その時代のソ連の科学力は相当上をいっていた。それを誇示しようというのが、ソ連にはあったんだよね。
突然マスコミを通じて月蝕の晩、ソ連の核弾頭付ロケットを月にぶち当てるというようなことを言いだしたんだよね。もう、大騒ぎになってね、僕らUFO研究者としては…。
もしも月にロケットなんか打ちこんだら、地球人は危険な動物だと宇宙人に思われかねない。
そうなったら、地球攻撃、なんてこともあるんだから。可能性がゼロということは決してない。
我々が防衛するすべは何もないんだ。それで、そんなことは絶対にやめるべきだという親書を、ソ連大使館を通じて送ってもらったんだよね。
そしたらね、その親書が効を奏したのか、それっきり新聞にその問題はのらなくなったの。パッタリ出なくなった。「しながわ」っていう品川区の立派な会報にものってるよ。UFO研究会が地球を救ったって(笑)」
UFOの話をする時、荒井さんの眼は光る。光るといってもギラギラじゃない。キラキラ文章にするのにも、ちょっとてれ臭い。まあ、それほど純粋な光を発している。
だからこそ、UFO研究一番目という困難極まりない道も、くぐってこれたのかもしれない。(つづく)
参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史 2000年11月発行 2頁