「勇気だね。一番最初に駈け出す勇気。一部の科学者なんか、笑いものにしてたんだから。UFOとか、あんなものは絶対に存在するはずない、と。
UFOは二十世紀の神話だ、とかなんだかんだとね。非常に僕らの意見に対しては冷たかった。だけど僕としてはね、世界のありとあらゆる情報を収集した結果、集めれば集めるほど、確信したんだ。
どーも空飛ぶ円盤というのは、地球人の飛行物体じゃない、とね。
じゃあ、一体何のために飛んでくるのか?どんなエネルギーを推進力にしているのか?目的はなんなのか?
まあ、そんなことをね、メカ的に知る必要があるんじゃないか、地球人は知らなきゃいけないんじゃないかと思うようになったんだ」
荒井さんは自分のことを「リアリスティック・ロマンチスト」だという。
「そう。UFOの本当の目的を知りたいからこそ、情報は冷静に、科学的に分析しなくちゃいけないんだ。UFOの写真を写しましたって僕のところに持ち込んでくる人は多いんだけど、その九十五%は勘違いなんだよね
例えば赤い光が動く、自分のところに迫ってきた。これは大体飛行機の着陸灯を勘違いしている場合が多い。着陸灯の強い光で、本体部分が見えなくなっているんだよね。
それと多いのが、人工衛星とUFOの見間違い。だから僕は言ってやるんだ。
少なくとも五百メートル以内のUFO写真じゃなきゃ、認めないと。それぐらい厳しく分析しなくちゃUFOの価値が落ちちゃうんだよ。
テレビでもUFOが見えた、UFOが見えたと某局のアナウンサーがはしゃいでだけど、あれは木星なんだって。木星は絶対に動かないとか言ってるけど、二十分か三十分もすれば地球自体が自転してるんだから、こちらから見れば木星も立派に動くんだよね。
あーいう人たちがいるから、ちょっと知識のある人達はUFOを信じなくなっちゃうんだよ。あんなもんバカらしいってそうなることが、一番恐いんだ」
荒井さんは怒っていた。大切に育ててきた子どもを、目の前で蹴とばされそうになっている。そんな時の親の心情に似ているかもしれない。(つづく)
参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史 2000年11月発行 2頁