客観的な情報を期待する

s-荒井欣一UFOと宇宙創刊30号記念企画各界著名人特別寄稿

日本空飛ぶ円盤研究会代表 荒井欣一

コズモとして創刊以来本号で通巻30号を迎えたことで、関係者一同の熱意と絶えざる努力に対して、まず祝意を表したいと思う。

この間本誌の内容も号を追って充実し、体裁も他国に類を見ない新鮮さが板につき、頁数も定価にしてはほぼ満足に値するボリュームを提供、おそらく世界でも注目を浴びていることであろう。日本ではUFO現象に対しての関心度は極めて低かったが、本誌の登場により、やっと同好者間の絆がつよまり、読者も定着し、我国唯一の月刊UFO誌として独走を続けていることは大変心強いことである。

しかし私は手放しで本誌をほめてばかりいる者ではない。やはり気になる点が数多く目につくが、そのうちの2点だけ述べてみたいと思う。

まず本誌には、しばしばアダムスキー関係記事が掲載される傾向があるということである。

しかし日本のUFO研究者および関係者の多くはかならずしもアダムスキーの体験記事に感激してUFOに関心を持った人ばかりとは限らないし、むしろ彼の体験には冷ややかな態度をとっている人が多いということも事実である。しかしながら本誌はその点を素通りしてアダムスキーにウエイトをかけすぎているのではなかろうかと若干気にかかるものがある。本誌が商業誌であると同時にジャーナリズムの一環を担っているのであるというならば、もっと客観的な視点からのUFOの情報を提供することが、日本唯一のUFO総合誌としての使命ではなかろうかと思い且つそれを期待するものである。

次に最近号では特に目につくことだが、目次を見ても執筆者に日本人のオリジナルティーが少ないということだ。日本人による翻訳、翻案は数多くあるけれども我々独自のUFO論文というものが大変少ないと思う。

これはまだ日本におけるUFO研究者が少なく、また有力な事件にも乏しいという環境、即ち日本の底の浅さというものを露呈しているのかもしれないが、しかし一方国内の各地にあるUFO現象研究会の会誌の中には非常に傾聴に値する論文が掲載されていることが間間ある。世間の眼にあまり触れていないこれらの論旨を本誌がとりあげることにより、奥行きの深い日本独自のUFO論が展開されることを期待できるのではないだろうか。

本誌が日本のUFO界の一つの核となって商業誌と研究者を結ぶ情報交換の輪をさらにひろげてもらいたいと思っている。

参考文献 UFOと宇宙 ユニバース出版社 昭和53年1月1日発行通巻第30号

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