ソ連の自動惑星間ステーションによって撮影された月の裏側の写真がいよいよ発表されるに及んで、私たちUFO研究者は、複雑な感慨を味わっております。 (中略)
多少なりともUFO問題に関心を抱けばすぐに気付くように、従来UFO研究界を二分する二つの流れがありました。一つは、私たち日本空飛ぶ円盤研究会並びに近代宇宙旅行協会、日本UFOクラブを中心とするグループのように、判明した事実のみを基礎としてこれに現代科学の成果を総動員し可能な限り説明を与え、さらに推測を積み重ねつつUFOの本質に一歩一歩と肉迫してゆく、科学的研究方法をとる一派であり、他の一つは米国のジョージ・アダムスキ氏を以て代表されるいわゆるコンタクティとであります。 (中略)
ところが、このたび発表された写真によって、月の裏側の様相が、アダムスキ氏がその著書において彼自身の実見談として詳細説明しているものとは似ても似つかぬものであることが判明し、従ってこれまで同氏を中心とする一派が説いてきたところは、もはや信ずるに足りないものであるということが、ほぼ立証されるに到りました。
そしてこのことは、私たちが従来とってきた研究態度や方法が如何に正しかったかを如実に示すものとして、私たちは意を強うする次第であります。
もはや私たちはコンタクティの雑音に惑わされることなく、あくまでも科学的研究態度を以て今後の研究を進めてゆくべきであると確信しております。また一般世人に対してもUFO研究についての私たちの立場を率直に表明し、UFOのもつ真の重大な意義を認識せしめるよう努力すべきであると考えます。 (後略)
1959年10月30日 日本空飛ぶ円盤研究会
参考文献 日本空飛ぶ円盤研究会 宇宙機 創刊30号記念特大号