内外タイムス「実在は信じてる」(三島由紀夫氏)

010701sonota376-trans昭和33年2月4日付け「内外タイムス」に三島由紀夫さんのことについて書かれた記事がありますので、紹介します。

「実在は信じてる」

先月十日にアメリカから帰国した三島由紀夫氏は、待ちかねていたジャーナリズム、演劇、映画関係者らにとっつかまって多忙を極めているらしいが、以下は新聞雑誌にも未発表の滞米中のコボレ話。

ボクは「空飛ぶ円盤」の実在を信じているんでね。日本でもその方の研究会に入ってるんだけど、まだいっぺんも実物にお目にかかったことがない。ところがアメリカでは日本よりしばしば現れるらしいんだね。だから向こうへ行って半年もいれば一度ぐらいは見られるだろうと思ってすごく期待してたんだけど、とうとうあわずじまいさ。そのために旅客機も夜の便を選んだりしだんだが…。

しかしね。アメリカでは円盤を信じないなんてのは相手にされないくらい一般の関心も研究もさかんですよ。日本じゃ研究誌もガリ版だが、向こうはちゃんと活版の専門誌が二種類も駅売りに出てるほどだし、ラジオでも午前一時の深夜放送に円盤の時間があるからね。そこでは見た人の報告やそれについての科学的な検討や解説がされるんです。いまニューヨークにいる猪熊弦一郎さんなんかも熱心に聞いている一人ですよ。

向こうの大学では日本の現代文学についての講演もしたんですが、たとえば石原慎太郎君について説明して、「彼は日本のエルビス・プレスリーである」などというとワーッと受けましたよ。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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