科学派か、信仰派か(SF作家柴野拓美氏の場合)パート2

(続き)

わたしもどちらかといえばその部類で、もともと興味の中心は架空のSF的な発想の展開にあり、UFOそのものに対しては一歩しりぞいて、「もしUFOが異星の宇宙船だったらこの科学技術は?また乗っている異星人の故郷は?」といったアプローチの方法をとっていた。

1957年の春、はじめてSFのグループを結成したときには、荒井さんの許可をもらって月例会の席上で仲間を集めさせてもらったが、同好の士が多いことにあらためて驚かされた。こうして発足したSF専門の同人誌「宇宙塵」からは、のちに一時期日本のSF界を支えた作家たちの大半がデビューしたので、「JFSA」は、いわば日本SFのためにも貴重な土壌を提供してくれたことになる。

だが考えてみると、こんなふうにUFOとSFが同居していたというのはなんとも不思議な話である。純粋なUFO研究家の立場からすれば、「自分たちがやっているのはSFなどというつくりごとではなく、まじめな真理探究なのだ。」と言いたいだろうし、SFの側からみれば、「われわれフィクションを楽しんでいるのであって、円盤信者などと一緒にされては迷惑だ。」ということになるのだろう。

参考文献 日本空飛ぶ円盤研究会発足秘話 知られざるニッポンUFO探求史(画像の内容とは異なります。)

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