かけがえのない同志「南山宏氏」#3

010301nori008-trans話がまたSF寄りになってしまったが、私がUFOや超常現象を考える場合、原点はあくまでSFにあるのだから仕方がない。むろんその種の現象をフィクションとして考えることではなく、SF的な発想や物の見方を一種の思考実験の道具、作業仮説としてこれらの現象を検証していくことが、最も有意義と考えているからである。

その意味で私の目をUFOという現象に開かせてくれた同志といっては失礼にあたる恩人が、この分野の大先輩であり、ほかならぬ前述の「日本空飛ぶ円盤研究会」の会長をつとめた荒井欣一さんである。この会は当時、三島由紀夫、北村小松といった有名人も参加したことで名をはせていた。まだヒヨッコ大学生だった私が、「宇宙塵」の会を通じて同研究会の末席にも加えてもらった時、すでに荒井欣一さんは、「円盤の権威」(当時はUFOという言葉はあまり使われなかった)としてジャーナリズムの注目を集めていた。そして現在もなお「UFOの権威」としてご健在である。

つい去年の秋、東京・五反田の自宅を小さいけれど立派な五階建てのビルに建て替え、その五階にこれまで収集してきたUFO関係の資料を展示する「UFOライブラリー」を開設された。UFO研究に関しては先進国である欧米にも、この類いのライブラリーはまだないはずで、世界的な快挙といえる。

残念ながら「日本空飛ぶ円盤研究会」は、もう十数年前に活動をやめてしまった幻の存在である。だが、荒井さんが日本のUFO研究界の中心であり続けていた理由は、その研究業績や会を組織し、運営していくオルガナイザーとしての手腕だけにあるのではない。

ひと言でいえば、おそらく荒井さんのあの何ともいえぬ包容力の大きい人柄のせいだと私は思う。決して強烈な個性の人ではない。むしろ謙虚でもの静かで、何でも柔らかに受け止めてくれる心の広さと誠実さ、それでいてシンは一本びしっと通っている、そんな感じの人である。この分野では私ははるか後輩なのだが、荒井さんは決して先輩面することなく、いつもまったく対等に応対して下さるので恐縮してしまう。私は生来議論好きな性格だし、アダムスキーみたいな「宇宙人会見者」ケースは強く否定したいほうだが、荒井さんにだけはとても議論を吹っかけ声高に言い争いする気にはなれない。そんな気持ちにさせてくれる人なのである。

正直いってこの分野でも、他の世界同様いろいろ角突き合いやら、足の引っぱり合いやらがある。UFOのような宇宙のロマンを相手にしていても、わがテンション民族の悪いクセは治らぬらしく、理論や研究姿勢の差異だったものが、すぐ感情的対立にすり代えられてしまう。そんな世界を20年以上もまとめてきた荒井さんは、ほんとに尊敬に値する。

今も荒井さんの元には、あらゆる世代のUFO研究家が慕い集まっているが、彼らの間で氏の悪口が言われたことなど一度もない。そういえば、荒井さんと親しい星さんは、私の顔を見るたびによくこうも言う。「荒井さんて、ほんとに人格者だね。あんな人はほかにいないよ」

そのたびに私は、自分がいかに非人格者かと言われているような気がしてきて、穴があったら逃げてみたい気持ちに駆られるのだ。私にとって荒井さんは、いろんな意味でかけがえのない人である。(終わり)

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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かけがえのない同志「南山宏氏」#2

010701sonota383-trans私がかりに、多少なりとも他人様のお役に立てる仕事をしたといえるなら、それは「UFO事典」を書いたこと位だが、生来怠け者の私をあの仕事に向かわせた原動力は、ある時荒巻さんから受けた「UFO研究に必要なのは、まずデータをきちんと整理した事典ですよ」という忠告と励ましだったのだ。少なくともあの本を出した時点では、あの種の本は世界でも初めての試みだったのである。

今回はUFO研究会の「同志」のことを書く。おわかりのようにこの分野は、かつてのSF界同様、体制的な科学界からいまだに無視されて少数派の悲哀をかこっている。だからSFと共通する要素は多いのだが、それだけではない。今の若いSFファンやUFOファンは知らないだろうが、わが国のSF界とUFO研究界は名実ともに「異種同根」、切っても切れぬ因縁があるのだ。

知る人ぞ知る、日本のSF界の源流は20年前の同人誌「宇宙塵」にあり、ここから現役SF作家の大半が輩出している。私もじつはそこの会員だった。ところが、この同人グループが結成されたそもそものきっかけは、その後無数に出来たUFO同好会の草分け的存在「日本空飛ぶ円盤研究会」内でも分派活動までさかのぼるのだ。当時の会員の中でとくにフィクション(そのころは空想科学小説といった)にも関心の深かった柴野拓美(小隅黎)、星新一ら有志が中心となって、「宇宙塵」の会が発足したのである。

だれあろう、あの星さんは、「元UFO研究家」であり、当時立派な研究論文までモノにしているのだ。たしかUFOはどこから来るか、といったようなテーマだった。あの頃の星さんは本気でUFOを信じていたらしい。ウソのようなホントの話。もっとも最近は私の顔を見るたびに、「UFOの正体わかった?ぼくは幽霊だと思うがね」とおっしゃるのが口癖だから、関心はあいかわらずあるのだろうが、考え方はだいぶ変わったらしい。

SFとUFOの因縁話で思い出すことがある。だいぶ以前だが、ある雑誌の「UFO特集」で小松左京、豊田有慎、平井和正のお三方と座談会をやらされた。その時発見したのだが、彼ら三人は海外SFを読み始める前に、例のアダムスキーの「円盤同乗記」を読んでUFOに興味を惹かれたという。私は逆に海外SFを読んで感動し、「宇宙塵」に入会してからアダムスキーを読んだのだから、現在の彼らの立場と私の立場から見れば、話はまるでアベコベなわけだ。(つづく)

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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かけがえのない同志「南山宏氏」#1

010301nori016-transUFO研究家の南山宏さんが昭和55年「小説CLUB」7月号に掲載した随筆の内容です。

出版界のパーティーなどで見知らぬ人に紹介される時、紹介役の友人(たいてはSF仲間だが)は決まって私の名を告げる前に、ほんの一瞬ふっと戸惑いの表情を見せる。私の職業をひと言で表現できそうな都合のいい分類に迷うらしいのである。

私自身適当な表現が見つからなくて困っているのだから、それも無理はない。以前なら、それでもちっぽけなSF雑誌の編集者だったから、そんな迷惑をかけなくとも済んだのだが、現在は天下晴れて自由の身なので、パーティーのたびに紹介役を困らせている。

毎日自宅で原稿を書く(怠けさえしなければ)のが仕事だから「物書き」に違いない。ときたまSF作家と紹介されることがあるが、少なくとも小説家ではない。よく取材に出かけて読物を書くが、ノンフィクション・ライターだのルポライターだのといわれるとこそばゆいし、だいたいUFOがテーマだからイメージが違い過ぎる。

海外のSF作家や超常現象もののノンフィクションの翻訳もやるが、量から言ったら三分の一程度だし、好きなものしかやらないから翻訳専門ではない。超常現象(たまにUFO)研究家と呼ばれると、カスミでも食っている変人みたいで申し訳なくなる。実作家でない限り、また友情を壊したくない限り評論・解説の類は絶対やらぬと心に決めているので、SF評論家扱いはこちらからお断りする。

要するに、SFとUFOの間を行ったり来たりしているイヌみたいな存在なのである。だが、そのおかげで私は「同志」的友人にはたくさん恵まれている。前号で荒巻義雄さんが書いておられたように、かつてSF界は既成文壇から長く認められなかった。少数派であり、だからこそ「同志愛」が芽生えた。その友情がSF界隆盛の今も、仲間同士の絆となって続いている。荒巻さんは私を実物大よりはるか以上に評価して下さったけれども、私のほうこそ彼に感謝していることがある。(つづく)

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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ソ連に板のような宇宙人(報知新聞UFO情報)

010701sonota373-trans報知新聞1989年(平成元年)11月3日(金曜日)に荒井欣一さんが書いた記事が掲載されていますので、紹介します。

「ソ連に板のような宇宙人?」UFOライブラリー館長 荒井欣一

最近ソ連ではモスクワ南部や、シベリア西部でのUFO事件が度々報じられているが、実は今年の4月、6月とモスクワの北部地区でも相次いでUFO騒動が起こっていたのである。

北部のハロフスク市では4月24日夜、銀色の4面体で内部に長身の4体の生物を認めた事件が起こっているのをはじめ、数人の漁師が大きな光る球体を目撃しているなど、南部のウォロネシ市の事件と類似している。

6月6日にはハバロフスク市郊外の大きな草原で球体の物体が着陸しているのが発見された。この球体は自動車よりも大きく、直径が3~4メートルあり、突然二つに割れ中から黒い生物が現れ、身長は人間よりもはるかに高かった。特に奇妙だったのは手が肩からではなく、胴体の上部からいきなり伸びていたという不思議な生物だった。生物を横から見ると板のように平べったかったという。

参考文献 UFO情報 報知新聞 1989年(平成元年)11月3日(スクラップ資料)

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宮地博士の「空飛ぶ円盤否定論の」反論の一部

010701sonota380-trans東京天文台長宮地博士の「空飛ぶ円盤は飛ばず」という談話に対する反論の記事です。このブログの平成26年8月19日付け「円盤否定論者の意見」を参考に御覧ください。

東京天文台長宮地博士の「空飛ぶ円盤は飛ばず」という談話は、ユーフォロジストによって一斉に批判を浴びているが、当研究会では1月19日、東京の第8回研究会で宮地博士に対する反駁文を協議した。

その結果、当会としては国内における確実な目撃例を中心に、「空飛ぶ円盤実在論」を発表して反駁するという方針が決まり、そのため編集部が中心となって反駁文の原案を起草することになり、近日中に第一回会合が開かれる予定になっている。

なお、第三回アンケートにより寄せられた会員諸兄の反論を紹介する。

米国にもメンゼルの否定論が出ているのに軍では依然研究を続けている。メンゼン以上の否定論でなくては意味がない。(東京 星新一)

昨年12月7日付け毎日新聞朝刊(東京版)に掲載された東京天文台長宮地政司博士の談話「円盤は飛ばず」は、現在、地球観測年の立役者である博士の立場よりみて、今後の日本における円盤現象への一般理解に影響するところが大きいと思われる。
最近相次ぐ円盤報告を持て余している天文台責任者の発言として博士の立場には同情するが、我々研究者としては、「一般の理解への影響」を憂慮する関係上、一応その論旨のあいまいさを指摘し、円盤現象が決して博士の言われるような「ナンセンスな」ものではないことを証明する必要を感じる。(東京 柴野拓美)

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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松村雄亮氏について

010701sonota382-trans宇宙友好協会(CBA)を設立した松村雄亮氏との関わりについて荒井欣一さんが書いています。

彼は生まれてから、神奈川県の横浜に住んでいたようだが、父の仕事のため、小学校時代に旧満州の乗員訓練養成所に入所し、数年で終戦を迎え、一旦、シベリアに抑留されたが、脱出して昭和21年に日本に戻った。

彼の父はスイスの航空雑誌「インタラビア」の日本通信員として勤務していた関係上、海外の航空事情に詳しく、従って、「空飛ぶ円盤」の情報にもいち早く接する状況下にあった。

彼はそれらの情報を基に、「UFO NEWS REPORT」を数号発行して廃刊。その頃、私も「日本空飛ぶ円盤研究会」を組織し、マスコミにもしばしば紹介してくれたが、彼の会も「読売新聞」の神奈川版に紹介されていた。(中略)

始めの内は、彼等とも協力体制を維持していたが、彼は昭和32年、新たな「宇宙友好協会(CBA)」を設立して次第に我々とは疎遠になっていった。

その後の彼の行動は、次第に狂言的、独善的となり、自らは「サーティーン」と名乗り、教祖的存在となり、色々各方面と問題を起こしながら、遂には彼は円盤や、その母船に乗ったと公言し、地球破滅の時期が近いなどと発表した。

例のトクナガ文書等で致命傷を蒙りながら、遂にオキクルミ計画と称して、昭和39年、北海道日高郡平取に350万円をかけてハヨピラを建設し、海外の外交官も集まり、盛大な祭典がなされたが、その頃から、彼は重病に侵され、その後は、再び表面に登場しなくなったようだ。

最近も海外のUFO研究誌に彼の名前を時々見るが、恐らく病床から最新情報だけを、奥さんの手を通じて送っていたようだ。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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「J・F・S・A」活動秘話Ⅰ(宇宙機第2号の問題点)

010701sonota378-trans三島由紀夫氏、石原慎太郎氏、星新一氏等が入会していた「日本空飛ぶ円盤研究会」ではどのような活動がされていたのでしょうか。活動秘話の一部を紹介します。ちなみに研究会では、「宇宙機」という会報を発行していたようです。

「宇宙機」第2号の発行は多忙を極めたため少し遅れ、八月十日になってしまった。若干内容に問題のある原稿があり、掲載について危惧した。

その「空飛ぶ円盤の神秘」の筆者である佐藤晋氏は宗教的な考えが混在している面があり、いかにもUFOの真相をしっているかのような内容で、掲載に苦慮したが、一応、いろいろな人の意見も尊重しようというのが建前だったので、掲載に踏み切った。

後日、同氏は「白光信光会」の会員であることがわかった。その後も研究会には、同会の村田正雄氏等を同伴して来たことがあった。

佐藤氏は会うたびに「UFOの解明は近い」と自信ありげに語っていたが、とうとうその実現も見ずに1987年、80歳で死去された。

この記事は、問題の多い内容だったのでさっそく反発があったが、広い心で応じるようにしていた。

参考文献 UFOこのわがロマン 荒井欣一自分史

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UFO論争(円盤研究の草分けVS惑星物理の名大教授)

010301nori020-trans昭和62年6月23日付け朝日新聞の記事です。

「UFOなんて実在しない」とする水谷仁・名古屋大理学部教授の著書「宇宙人はいるだろうか」(岩波ジュニア新書)をめぐって、UFO研究家が「学者の思い上がりも甚だしい」と質問状を送りつけるなど、思わぬ「UFO論争」になっている。

~水谷仁著「宇宙人はいるのだろうか」の「まえがき」から~

そもそも地球外から知能のある生物がやってくるこというようなことは、科学的に考えれば不可能に近いといってよいほどのことです。毎日望遠鏡で夜空を見ている天文学者やコメットシーカーのだれ一人としてUFOを見たことがないというのも、UFOが実在するものではないことを示していると思います。そこで、この本では宇宙人がUFOに乗ってきているとは考えません。

荒井欣一さんが、昨年秋、ライブラリー参考文献に「宇宙人はいるのだろうか」を購入。ところが、荒井さんは「まえがき(上記)」を読んだだけで、これはひどいと思わざるを得なかった」「こんなにはっきりUFOを否定されたのは、私の知る限り日本の学者で初めて」と、UFO否定論に憤まんやる方ない。

水谷教授は、宇宙人がいるとは十分考えられるものの、何万光年という隔たりがある以上、「宇宙人がロケットに乗ったり、宇宙探査船に乗ってわれわれの周りにやってくるというようなことは非常に考えにくい」と書く。

荒井さんは「天文学者のだれ一人見ていないというが、多数目撃している」という。あわせて本の中で、冥王星の発見者クライド・トンボー教授をローウェルと間違えるなど岩波らしくない点も指摘。

一方、水谷教授。「UFOにロマンを求めるというが、本当のロマンは宇宙の姿の中にある。UFOは信じる人には見えるのかもしれないが、私は子供たちにあまり信じてほしくないと思い、ああいう断定的な表現になった」という。冥王星の指摘は荒井さんが正しく、岩波書店も「次の版から直す」としている。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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文壇の空飛ぶ円盤ファン(週刊新潮)

010301nori003-trans昭和33年5月5日付け「週刊新潮」の記事です。

「文壇の空飛ぶ円盤ファン」

大阪に空飛ぶ円盤を研究している同好グループ「近代宇宙協会」(代表者高梨純一氏)というのがあって、そこでは会員に「空飛ぶ円盤情報」という雑誌を発行しているが、最近の第八号によると、近ごろはだいぶ円盤ファンが増えたとのことだ。

有名人で円盤を見たという人には、すでに徳川夢声、森田たま、川田順氏などがあるが、さらにことし正月二日の晩、石原慎太郎氏が見たということで、いよいよにぎやか。

また三島由紀夫氏、黛敏郎氏らが円盤ファンで、東京にある日本空飛ぶ円盤研究会の会員なのも周知の事実で、正月三十日にアメリカから帰国した三島氏の話によると、彼の地でも円盤熱は盛んらしい。「円盤というと一笑に付して信じないのは日本人くらいのものらしく、アメリカではラジオの深夜放送に、ちゃんと「円盤の時間」というのがあり、ニューヨークに滞在中の猪熊弦一郎画伯なども毎晩欠かさず聞いていた」という。

ほかに北村小松、黒沼健の二作家が関心を持っているのはだいぶ久しい以前からだが、近ごろは、それに加えて幸田文さん、野間宏氏、高見順氏などまで興味を持ちだしたというから、人工衛星打ち上げに始まった宇宙ブームも、ずいぶんと発展したものですある。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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憂楽帳「空飛ぶ円盤」(石原慎太郎氏)

010701sonota389-trans昭和33年3月11日付け「毎日新聞」(夕刊)に、石原慎太郎さんが空飛ぶ円盤について書いている記事がありますので、紹介します。

「空飛ぶ円盤」

先日ゴルフ場で一緒になった紳士がコースを回りながら話のはずみで僕に「あなたは空飛ぶ円盤のようなものを見たことがあるか」という。

円盤かどうかは知らないが、僕もことしの正月の夜、怪しい飛行物体を確かに見た。僕一人でなく連れの四人も目撃している。世間でいう円盤とは大きさも形も違って、黄色に光り輝いたかなり大きな球体が明るく尾を引いて夜空をよぎっていった。見た感じからいっても人魂やエイ光弾ではないことは確かである。

そう答えるとくだんの紳士が顔色を変え「私が川崎で見たのもそれと全く同じで、しかも忘れもせぬ正月二日の夜だった」という。正直いって二人とも、思い出し改めて薄気味悪くなり顔を見合わせた。

「どうも大変な世の中になってきましたな。もっともあなたなどお若い方がたはそうも感じられないかもしれませんが」と紳士はいう。

しかしこうした事柄になってくる年代の新旧にかかわりなく、やはりなにか大変なことが起こりそうな気がしないでもない。既成の事実が日ごろ信用している科学で皆目説明がつかないということほど不気味なものはない。僕は時折ふと予感のようなものを感じることがある。「案外、おれは人類の終えんに立ち会える。ある意味で幸運な世代に生まれてきたのではないだろうか」と。

参考文献 UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史

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