いなくなった宇宙人

ある日の午後、UFO物産館で働くU子は、食堂のお昼の慌ただしさを終えて、お客様がいなくなった合間をみて、UFO物産館内にあるお土産店で商品の品出しを始めました。

バックルームから宇宙食やポテトチップスなどのお菓子類を出してきて、これらの商品に値段を付けようとU子は、今、手にハンドラベラーを持っています。

商品の値段とハンドラベラーの数字を合わせ、カチャカチャカチャと値付けをしていきます。U子は以前コンビニでバイトをしていた経験があることから、ハンドラベラーの使い方は神業です。

息もつかせぬ早業でカチャカチャカチャと値付けをして、U子が一息ついたとき、UFO物産館の有線から逃げ恥の恋が流れてきました。

U子は、今、ハンドラベラーを持ったまま、胸の前で手を交差させたりして、誰もいないUFO物産館で大声で歌いながら踊っています。気分はもう石田ゆり子です。

その音楽が終わりかけたとき、U子は、ある商品棚に商品がないことに気づきました。それは、「エイリアンキーチェーン」というキーホルダーでした。

このキーホルダーは、UFO物産館では「NO UFO,NO LIFE.」Tシャツをしのぐ人気商品で、ゴールデンウィークで完売してしまった模様です。U子は発注が間に合わなかったことを悩んでいました。

そうこうしていると、一人の女性が来店しました。

「いらっしゃいませ」

女性はお土産店で何かを探している様子です。

「すみませんが、宇宙人の形をしたキーホルダーこちらで売ってませんでしたか。」

その時、U子は、ちびまる子ちゃんが青ざめた時とかに目の下に縦線が入ったりしたような顔になって、

「も、申し訳ありませんが、そのキーホルダーは品切れなんです。」と言いました。

その後、U子は、速やかに業者にキーホルダーを発注しました。悩みがなくなったU子は、気分も新たに仕事をするのでした。

登場人物はフィクションです。

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